iPhoneでBluetoothイヤホンやスピーカーの音が最小でも大きい理由

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音量の微調整ができない問題は、以前から気になっており、ネット上のレビューやQ&Aサイトでは「安価なBluetooth製品のせい」「iOSのせい」という回答があり、そういうものだと思ってたが、なぜそうなのか気になったので原因と対策方法を調べてみた。

(原因と対策方法を記載しているため対策を早く知りたい場合は下部を参照)


よくある質問と回答

Yahoo知恵袋より

bluetooth イヤホンは音量の微調整は出来ないのでしょうか?

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12193075687

仕方なく端末の側面のボタンで、ミュートから一段階上げましたが、それでは耳が痛いほど音が大きくなります。

回答内容:

お使いのイヤホンがおかしいのではと思いますが。私が利用しているBoseのbluetoothイヤホンはそのような事は無いですね。完全コードレスでは税込み29,160円です

iPhoneでワイヤレスイヤホンを利用した際 音が大きすぎてうるさい問題

https://lac-ker.com/humanitise/iphone-wireless/

※ ここでの対策方法は役に立つが、原因については解説が不適切


原因と仕組みの解説

以下の引用にあるように Bluetooth接続時は 0dB(最大音量)固定でワイヤレスのイヤホンやスピーカーに送信される。

※ night mode で送信レベルが落とせるという機能は見つからなかったので間違いだと思われる

> 絶対音量での固定送信レベルがiPhoneは0dB、Androidは-18dB, Walkmanは-6dB等と違う

> のが原因です。iPhoneにはnight modeというのがあって、送信レベルを落とせるようですよ。

> ただし、音質はその分低下しますが。

> (iPhoneでは絶対音量は-0dBで送信側が固定されるので、そちらを使えは問題ないです。

> ただし、音量を最小に絞っても煩いと思う人はいるでしょう)

https://www.sysnishi.net/anker-soundcore-liberty-air-review

Bluetoothで音声を送信する場合、リアルタイムでmp3のような圧縮された信号に変換されてから送信される。

受信側はそれを受け取って再生する。iOSの場合は元の音声を小さくすることなくそのまま送信しているため、iOSの送信自体は問題がない。

これはiOSに限らず、Windowsでも同じ動作となる。

つまり、音量調整はOSではなくBluetoothデバイス側に委ねることになる。

 

微調整ができないのはイヤホンのせい?

Bluetooth 接続時は、iPhone、iPad側で音量調整しているように見えているだけで実際はiPhone、iPad側は常に最大音量でBluetooth側の音量を操作しているに過ぎない。

多くの安価なBluetoothデバイスは16段階しか調整できないため、音量が切り替わるしきい値は100を16で割った以下のような感じになる。

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実際にWindows10にBluetoothスピーカーを接続すると、iOSと同様に音量を「5から6」、「12から13」に変えた段階で急に音が大きくなることが確認できた。また、0~5にするとスピーカー側は無音になった。

また、16段階あるうち、1、2、3段階あたりで急に音が大きくなったりするのはボリューム調整が以下の図のCカーブのようになっているためだと思われる。音量調整はAカーブのものが多いらしいが、このあたりの詳細は良く分からない。

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こういった仕組みのため、OS側で1%単位で音量を指定できたとしても、Bluetoothデバイスが100段階の音量調整に対応していなければ、まったく意味が無い。

詳しくは分からないが、大抵はBluetooth AVRCP の Absolute Volume control などに対応しているはずで、iOSなどのOS側が16段階で音量をセットするようになっているはずがない。

参考:MCPC TR-025 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム 技術委員会
https://www.mcpc-jp.org/news/pdf/TR-025_Ver.1.0.pdf

AirPods や、他のオーディオメーカーの高価な製品などで問題が起きないのは製品開発時に実際にiPhoneなどで確認しながら調整しているからだと思われる。それだけのコストをかけて開発している。

例えば、ソニーのワイヤレスステレオヘッドセット WF-SP900では音量調整は31段階と細かく調整可能となっている。iPhone上では3%ずつ音量が変化するはず。

https://helpguide.sony.net/mdr/wfsp900/v1/ja/contents/TP0001694278.html

Andoroidで問題にならないのは、「絶対音量設定を無効にする」というオプションがあるから

開発者オプションという隠れた設定だが、これによってAndoird本体とBluetoothイヤホンで独立して音量調整が可能になる。

音を大きくすることはできないが、0dB以下(最大音量以下)に調整することは可能になる。

iOSはそういった設定ができないため、常に0dB(最大)で送信される。

また、AndriodはメーカーによってBluetoothでのオーディオ送信を0dB以下に小さくしている場合もあるらしい。

WindowsやMac OSにおいては、音楽再生ソフト側で音量調整が可能なため特に問題にならない。

 

ソフトウェア側で対応できるのなら、iPhoneやiPad側でも送信する音声データの音量を事前に調整できれば問題ないはず。

しかし、アップルがその機能を提供していないため「iOSの仕様」「Bluetoothイヤホンが原因」と表現されることが多い。

 

この仕組みの違いについて、Noble Audio という米国のイヤホンブランドのサイトのQ&Aに分かりやすい解説がある。

音量が小さい、音量が大きい – Noble Audio Japan

https://nobleaudio.jp/faqs/falcon-volume-issue/


iOSでの対策方法

※ この方法はYoutubeやAmazonMusicなどApple純正以外のアプリには反映されない

方法1 :イコライザ機能を使う

設定 > ミュージック > イコライザ
と進んで、適当なイコライザを選択する

(イコライザは特定の周波数や帯域を抑えたりするため結果的に音が小さく聞こえる場合がある)

方法2 :音量の自動調整オン
設定 > ミュージック > 自動調整をオンにする

Music で再生時にノーマライズされるため結果的に音が小さくなる場合がある

 

これの設定によって、純正アプリのMusic で再生時に音が小さくなるのを確認できた。

しかしYouTubeなど他のサードパーティー製アプリには影響しないので根本的な解決にはなっていない。


結論

・iOSはユーザー側で根本的な対策は不能

・Apple純正のMusicアプリなら対策可能

・Andoird、WindowsではOSやソフトウェアの設定で対策可能

・iOSユーザーで音量がどうしても気になる場合はBluetoothデバイスを買い直すしか無い

・そのBluetoothイヤホンを気に入っているなら、Andoidを検討しよう

・Appleに対応して欲しいなら要望を投げよう

iPhone - フィードバック - Apple(日本)

https://www.apple.com/jp/feedback/iphone.html

とりあえず、ソフトウェアで対応可能なのでアップルには要望をリクエストしておいた。

 

ちなみに(アフィリエイト目的だと思われたくないのでリンクは貼らないが)、安価な製品でもSOUNDPEATSの TrueAirというAirPodsそっくりの製品は特に問題がなさそうだった。

最小ボリュームから徐々に音量を上げていくことが可能だった。中国製でもオーディオ機器のノウハウを少しは実績があるらしい。

無音時にホワイトノイズがよく聞こえてしまうなど、老舗オーディオメーカーには遠く及ばないが、こだわりなくカジュアルに聴くぐらいなら十分と言える。

(他の安価製品では最小から少し上げただけで明らかに音量が大きくなっていた)

 

神経質な人は買わないほうが良い。高価でも信頼できるメーカーの製品を買ったほうが良い。

17. 4月 2020 von memo-log
カテゴリ: デジタル機器 | タグ: , |

1 コメント

One Comment

  1. ありがとうございます。今まで様々な情報を見てきましたが一番納得のいく記事でした。

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